社長と極上の生活
時より表情を歪める杏花。
感じているのか、それとも痛むのか。
それさえも男の俺には想像もつかない。
「杏花、大丈夫か?お腹が張ったらすぐ言えよ?」
「ん」
医師の指示により『お腹が張ったらすぐやめる』
これは母乳マッサージの鉄則。
それでなくとも、杏花の体調は不安だし。
俺は保湿クリームを塗りがてら
母乳が出やすいようにとマッサージを施す。
日中にも杏花は自分でしているらしく、
彼女は出来る限り『母乳』で育てたいと言う。
俺は背後から両手を伸ばし、
彼女の胸元を見下ろして……。
『この俺だけの胸が……』
男心とは切ないものだ。
杏花が母親になろうと一生懸命なのに
父親である俺はいつまでも『男』でいたいと。
そんな彼女の中にいる我が子に、
『今だけはパパに譲ってな?』
そう、心の中で呟いて。