社長と極上の生活


杏花は俺の胸に両手を着いて……。


「私もしていい?」


「ん?」


「…………帰るコール」


潤んだ瞳でおねだりされては、


理性を保つのがやっとだというのに……。


杏花は俺の返事を待つ事なく、


きつく結ばれたネクタイを緩ませて、


Yシャツのボタンを2つ外して――――


俺の胸に紅い薔薇を咲かせた。


満足そうな笑みを浮かべながら、


手慣れた手つきでネクタイを結ぶ杏花。


そんな彼女の髪を優しく撫でながら、


心の底から幸福感で満たされる。


「これが消える前に帰って来てね?」


「あぁ」


「約束だからね?」


「ん」


結んだばかりのネクタイを掴み、引き寄せる杏花。


精一杯背伸びをした杏花の腰を抱き寄せ、


俺は彼女の唇にキスの雨を降らせた。




『もう少しだけ、我慢してな?』と、心で唱えながら。


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