社長と極上の生活

テラスの間接照明と室内のフットライトのみでも、


意外と表情が分かるものだと、改めて実感。


テラスに設けられた露天風呂は、


家族で入れるくらいの広さがあって


要と2人で入るには贅沢すぎるけれど


彼に寄り掛かって、足も伸ばして


極上のひとときを満喫する。


「シミも、出来てなくて安心した」


「要のお陰だよっ」


「こんな色白の肌に、痕なんて付けれないだろ」


私の背中や胸脇に指先を這わせながら、彼が口にした。


妊娠後期に毎日のようにクリームを塗ってくれた彼。


あの時は恥ずかしさが勝ってたけれど


今思えば、彼が1日に何度も塗ってくれたお陰だ。


『傷一つ付けたくない』と彼が口癖のように言ってくれた言葉。


彼の愛情があっての今だから。


妊娠線だけでなく、産後に体中にシミが出来やすいらしい。


だから、産後も全身クリームしてるんだけど。


要に幻滅されないように……。


「要」


「ん?」


「もっと努力するから、嫌いにならないでね?」


「それは俺のセリフだ」


「要は完璧すぎるほど、いい旦那様だよ?」


「仕事漬けなのにか?」


「それは、仕方ないでしょ?」


「もう少しだけ我慢してくれ」


「私は今でも十分倖せだよ」

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