社長と極上の生活


ガラス越しに気持ちよさそうに寝ている斗賀を目にして


要と自然と視線が絡み合う。


今は、素敵な旦那様と可愛い我が子がいて倖せだから。


頬に彼の手が添えられ、唇が重なる。


久しぶりにゆっくりと味わう彼とのキス。


いつもはチュッと触れるだけの挨拶代わりの口づけだから


こんな風に『妻』として、


『女』として求められたら、


胸が高鳴るのは当たり前で。


湯温のせいなのか、クラクラとし始めた。


ゆっくりと離される唇。


それを視界に捉えたら、ほんの僅かに動いた。


『出るぞ』たった3文字なのに、更に鼓動が早まってしまう。


だってその先に、余計な期待をしてしてまう自分がいるから。


バスタオルで軽く拭き上げた彼は、バスローブを羽織り、


私にバスタオルを手渡してから、斗賀を抱き上げた。


「先に行ってる」


「……ん」


以前だったら、バスタオルで包んでくれたのに


子供がいると、それすらも難しい。


そんな我が儘、きっと許されないのだろうけれど。

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