社長と極上の生活


小さい子供がいたら、弾丸旅行は出来ない。


だから、ゆとりのあるプランを考えてくれたようだ。


宇佐神宮は全国に4万を超える八幡社の総本宮で


白壁に朱塗りの柱が目を見張るほど美しい。


斗賀の健康と家内安全、商売繁盛を祈願して。


水族館へと向かう途中で昼食を摂ることに。


「要、運転代ろうか?」


「いや、大丈夫。少しでも睡眠取った方がいいから、道中寝てていいぞ」


「……本当に、できた旦那様ね」


「ホテルに戻ったら、休ませて貰うから」


仕事で疲れてるであろうに。


いつだって彼は私を気遣ってくれる。


水族館が初めてな斗賀は、


動く魚を目で必死に追っている。


それが堪らなく可愛くて。


要と2人で微笑ましく眺めて……。


カメラで写真撮ったり、


ビデオカメラで動画を沢山撮った。



終始働きっぱなしの旦那様は、


私でも斗賀でもない、全くの別の所をじっと見つめている。


その視線の先を追って、ほんの少し心が痛んだ。

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