社長と極上の生活


「要、……何か言いかけなかった?」


「あ、……ん」


何度も深呼吸して呼吸を整えている私の背中を優しく摩る彼。


『別れたい』と言われるまでは、良い妻であり続けたい。


いつか終わりが来るとしても、


その日が1日でも先であって欲しいから。


「なぁ、あーいうイベントってさ、どれくらいの世代が対象なんだろうな?」


「………え?」


「今手掛けてるプロジェクトで、あーいうのを取り入れたいなと思って」


「………」


ミス大分の女性に見惚れてたんじゃないの?


仕事の事を考えてたってこと?


「要」


「ん?」


「あのミス大分の女性が好みなんじゃなくて?」


「見た目ってこと?」


「見た目……う~ん、見惚れてるのかと思って」


「それはない。俺には杏花がいるし、杏花さえいてくれれば、他の女は要らないだろ」


「っ/////」


「あ、もしかして、それで泣いてたのか?」


「………っ」


バレてしまったみたい。


だって、あんなにも熱い視線向けてたら、


勘違いしてもおかしくないでしょ。

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