社長と極上の生活

自宅の浴室でもよく脚を攣ることがあって


呼び出し音で呼ぶこともしばしば。


だから、攣ってること自体に驚きはさほどない。


それでも、毎回心配そうな表情を浮かべ


毎回私の体を労わってくれている。


人魚姫がマーメイドなら、人魚王子はマーマン。


マーマンはマーメイドを命をかけて生涯大切にするという。


だから、私にとって彼はいつでもたった一人のマーマン。


ベッドに下ろされ、下着を横にそっと置いてその場を後にする彼。


リビングに置いて来た息子を迎えに。


私はすぐさま下着を身に着けて、ガウンを羽織り直す。


程なくして戻って来た彼は、


斗賀をベッドに寝かせ、再び部屋を後にする。


どうしたのかと思っていると、


タオルを手にして戻って来た。


レンジで蒸しタオルを作って来てくれたようだ。


部屋に備え付けの電子レンジで温められたタオルを脹脛に当て


何も言わずに手当てをしてくれる。


「いつもありとう、要」


「これくらいしか出来ないけどな」


「十分よ」


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