社長と極上の生活


『出産は女性の体に大きな負担を与える』


育児書で学んだようで、


私には勿体ないほどの旦那様。


彼にとったら些細なことなのかもしれないけれど、


女性にとって(私にとっては)


これ以上ないほどに尽くされている。


そんな彼の頬にチュッとキスを。


不意に仕掛けられたキスに驚きつつも


嬉しそうな表情を浮かべた彼。


お礼とばかりに頬にキスをしてくれた。


反対の頬にキスをすると、またしてもお返しのキスを反対の頬に。


額にキスを落とせば、これまた額にお礼のキスが落とされる。


そんな風にキスをし合って、最後は唇に辿り着く。


私にとって彼がマーマンならば


彼にとって私は何なのだろう?


マーメイドのように自らを犠牲にするようなことは出来ていないから


きっとマーメイドにはなれない。


魅力的なヒロインになれなくても


彼にとってたった一人の女性であり続けられたらそれで満足。


『この旅行中くらい、俺を男として見ろよ』


思いがけない彼の愛にも触れられた。


この旅行で夫婦の愛を再認識できたことが何よりも宝物。

< 295 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop