社長と極上の生活


翌日。


夕方の便という事もあって、早めにチェックアウトして


『高塚愛宕地蔵尊』というお寺を参拝する。


子供の守り神でも有名なお寺だが、


どんな願いでも一生に一度は叶えてくれるという、有名なお寺。


昨日同様、斗賀の健康と家内安全、商売繁盛、


それプラス、夫婦円満を祈祷して貰った。


出産して初めての旅行はあっという間で


終始いい子にしてくれていた斗賀のお陰で


夫婦の絆もより深まったと思う。


要の心の声もちゃんと聞けたしね。


「杏花」


「ん?」


「2人目は、ちょっと間置きたいんだけど」


「へ?」


いきなり何を言い出すかと思えば……。


「子供、……嫌いじゃないよね?」


子煩悩の要に限って、それはないと思ってるんだけど。


「子供は好きだけど……」


「……だけど?」


「杏花との時間をもっと大事にしたいから」


「っ/////」


こういう嬉しくなるような言葉をサラッと口にする彼。


空港へ向かう車内で、ぎゅっと抱き締めてあげれないのに。


「要が欲しくなった時で私は構わないよ?斗賀いれば十分だし」


ルームミラー越しにニコッと笑みを向けると


彼が安堵したのが分かった。

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