社長と極上の生活


沢田から今日の日程を確認しながら、


机上に置かれた決済書類に目を通し始める。


最終業務が16時からと言われても


それが最後の仕事なわけではない。


目の前の決済書類を処理しなければならないし


それ以外にも既存業務は腐るほどある。


大型イベントが終わるまでは250%くらいの仕事量なのは仕方ない。


そんな激務の合間に村岡に連絡を入れる。


『杏花の具合が悪いみたいだから、世話を頼む』と。


杏花に休めと言った所で空返事しか返って来ない。


俺も杏花も今月は仕事に忙殺されそうだ。




23時過ぎに帰宅すると、


ダイニングで仕事をしながら寝落ちている杏花を見つける。


そんな彼女をそっと抱きかかえて寝室へ運ぶ。


近くに斗賀の姿が無いから、


完全に夜は村岡に任せているのだろう。


梅雨入りして湿度は高いが、


今日みたいに天気の悪い日は気温も下がり


疲労で免疫力が落ちている杏花が風邪を引いたら困る。


薄手の羽毛布団を掛けて、彼女の寝顔を暫し堪能する。


柔らかい髪をそっと撫でた、その時。


「……なっ…め」

< 303 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop