社長と極上の生活
沢田から今日の日程を確認しながら、
机上に置かれた決済書類に目を通し始める。
最終業務が16時からと言われても
それが最後の仕事なわけではない。
目の前の決済書類を処理しなければならないし
それ以外にも既存業務は腐るほどある。
大型イベントが終わるまでは250%くらいの仕事量なのは仕方ない。
そんな激務の合間に村岡に連絡を入れる。
『杏花の具合が悪いみたいだから、世話を頼む』と。
杏花に休めと言った所で空返事しか返って来ない。
俺も杏花も今月は仕事に忙殺されそうだ。
23時過ぎに帰宅すると、
ダイニングで仕事をしながら寝落ちている杏花を見つける。
そんな彼女をそっと抱きかかえて寝室へ運ぶ。
近くに斗賀の姿が無いから、
完全に夜は村岡に任せているのだろう。
梅雨入りして湿度は高いが、
今日みたいに天気の悪い日は気温も下がり
疲労で免疫力が落ちている杏花が風邪を引いたら困る。
薄手の羽毛布団を掛けて、彼女の寝顔を暫し堪能する。
柔らかい髪をそっと撫でた、その時。
「……なっ…め」