社長と極上の生活


翌朝、目が覚めると隣に愛妻の姿はない。


既に起きているようで、斗賀の姿もなかった。


ダイニングへと下りると、


キッチンで村岡と会話する杏花の声が聞こえて来た。


「……ご無理をなさらぬように」


「要に気を遣わせたくないので」


「承知しました」


2人の会話を耳にして、思わず隠れてしまった。


俺に気付かれないようにとは、一体……?


昨日の村岡の様子もおかしかったし、


そう言えば、ここ最近、杏花の様子も少し変かもしれない。


疑い始めたらキリがない。


俺に気を遣って隠そうとしているのか。


それとも、何かサプライズ的なことを考えているのか。


はたまた、何か疚しいことでもあるのか。


杏花との間に隠し事はしたくない。


過去に沢山遊び尽くして来たけれど


それでも、杏花には何でも話して来た。


けれど、今抱えているプロジェクトに関しても


全てを杏花に話しているわけではない。


話せることは話してあるが、


杏花もそういった感じなのだろうか?


杏花に限って浮気は無いと思うんだけど……。


何とも言えない不安に襲われる。

< 307 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop