社長と極上の生活
翌朝、目が覚めると隣に愛妻の姿はない。
既に起きているようで、斗賀の姿もなかった。
ダイニングへと下りると、
キッチンで村岡と会話する杏花の声が聞こえて来た。
「……ご無理をなさらぬように」
「要に気を遣わせたくないので」
「承知しました」
2人の会話を耳にして、思わず隠れてしまった。
俺に気付かれないようにとは、一体……?
昨日の村岡の様子もおかしかったし、
そう言えば、ここ最近、杏花の様子も少し変かもしれない。
疑い始めたらキリがない。
俺に気を遣って隠そうとしているのか。
それとも、何かサプライズ的なことを考えているのか。
はたまた、何か疚しいことでもあるのか。
杏花との間に隠し事はしたくない。
過去に沢山遊び尽くして来たけれど
それでも、杏花には何でも話して来た。
けれど、今抱えているプロジェクトに関しても
全てを杏花に話しているわけではない。
話せることは話してあるが、
杏花もそういった感じなのだろうか?
杏花に限って浮気は無いと思うんだけど……。
何とも言えない不安に襲われる。