社長と極上の生活


19時を少し回った頃。


予定していた会食が無くなり、


帰宅時間が早まった俺は、急いで自宅へと向かう。


朝の会話が気になってしまって。


「お帰りなさいませ」


「杏花は?」


「それが、……少し微熱があるようで、お休みになられてます」


「熱?何度?」


「37.4度にございます」


「風邪か?」


「疲れが出たのだと思いますが」


「病院には?」


「午前中に」


「病院に行ったのなら安心だな」


「先にご入浴を。お食事を温めておきますので」


「ん、頼む」


シャワーをするため上階へ向かう。


愛妻が寝ているから、静かにドアを開けると、


寝室のベッドの上に杏花の姿はなかった。


俺に気を遣ってゲストルームに寝ているようだ。


上階にあるゲストルームを覗くと、彼女の姿があった。


額にそっと触れる。


熱はやはり微熱ほどで、汗を掻いてる様子も見受けられない。


苦しそうにしてる感じもなく、


やはり疲労から来るもののようだ。


掛け布団を肩まで掛け、手をそっと布団の中へと。

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