社長と極上の生活


「オープンの日のスーツはどれにするの?」


「あ、それはもう手配してある」


「よかった、新調したのね」


「モールに入ってる取引先に靴とかネクタイとか色々手配したから」


「あ、そういう手も使えるわね」


「杏花と斗賀の服も頼んであるから、今日あたりに届くと思うけど」


「何から何までありがとう。……忙しいのに」


ウォークインクローゼットの中で


香水の残り香があるスーツを横目に


要のネクタイを結んでいると……。


「ッ/////」


腰に回された腕に力が入り、その腕が引き寄せられた。


彼の胸に辿り着いた私は、トクンと胸が高鳴って。


「杏花」


耳元に優しく囁きかけられたら、


無意識に体が反応しちゃう。


自然と絡み合う視線は、朝の忙しい時間の


僅か数秒でも愛おしくて


仕事漬けでも私の存在を覚えててくれることが嬉しくて


そっと目を閉じて、彼からの愛をしっかりと受け取る。


「杏花、ごめん。そろそろ行かないと」


「うん」


素敵な旦那様は、今日も仕事に追われそう。

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