社長と極上の生活
「あっ…」
「ん?」
「今、お腹蹴った」
「フフッ、やっぱりヤキモチ妬きだな」
「フフフッ……そうみたいね?」
気まずい雰囲気は我が子に助けられ
杏花に愛らしい笑顔が戻った。
俺は杏花をゆっくり立たせながら、
「今日は早めに帰って来るから、散歩に行こう」
「うん」
すっかり母親らしい仕草を見せる杏花。
お腹に手を当て、愛おしそうに撫でながら
「今日はパパ、早く帰って来るって。良かったね~」
お腹の我が子に優しい声音で話し掛けて。
俺はそんな杏花のお腹にそっと耳を当てると
――――ポコッ
「んッ?!今、蹴ったな」
「うん、パパに合図したのかも」
「フフッ、こんな小さいうちから自己主張し過ぎだろ」
「きっと、俺様、あたし様になるんじゃない?」
「フッ、なら大変だな……杏花ママ?」
「ウフフッ……そうかもね?」
お腹を優しく撫でて、軽いキスを。
「じゃあ、いって来るな?」
「はい、いってらっしゃい」
俺はオフィスフロアへと自宅を後にした。