社長と極上の生活


「凄い車の数ね」


「息子から聞きましたが、15000台程収容出来ると」


「いっ、いち……相当な台数よ」


村岡さんの運転で、大型複合施設へと向かう車内。


高速道路や国道など主要道路が朝から渋滞していると連絡を貰い、


車内で離乳食をしながら向かおうという話になり、


予定より2時間早く自宅を出発したのだけれど、


目的地のモールまで、まだ1キロ近くあるというのに車が全く進まない。


至る所に交通整理をする警備会社の従業員が配置されていて


6月下旬の蒸しむしとした暑さの中、立ちっぱなしで申し訳なさが募る。


「杏花様、ベビーカーで歩いて行かれますか?」


「その方が良さそうね」


「駐車出来ましたら、ご連絡差し上げますので」


完全に停車している車内から外に出て、


車から荷物とベビーカーを出して貰い、


私は斗賀をベビーカーの乗せて、村岡さんと別れた。


散歩がてらモールへの道のりを歩く。


同じように車内に閉じ込められたファミリー層の方が


同じ考えに辿り着いたのか、ベビーカーで向かう姿もちらほら。


「斗賀~、パパに逢いに行こうね~」

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