社長と極上の生活
5時間にも及ぶモール探索を終えた私達は、
要に帰宅すると連絡を入れて、
夕方の渋滞時間を避けるために、少し早めにモールを出た。
「杏花様、少し落ち着いた頃にまた行きましょう」
「そうね。その頃には斗賀も歩けるようになってるかもしれないし。そしたら、動物バスにでも乗りましょうか」
「いいですね」
斗賀の乳母のような存在の村岡さんは、
自分の孫のように斗賀を大事にしてくれている。
「要が言ってましたけど、このオープンイベントが落ち着いたら、沢田さんに休みを取らせるみたいですよ」
「そうなんですか?それは初耳ですけど、まぁ、何年も休みらしい休みも無かったですしね」
「要は、沢田さんと早苗さんを早くくっつけたいみたいです、ウフフッ」
「ねぇ、ホントにダメダメ息子だからどうなる事やら。早苗ちゃんに嫌われなきゃいいですけど」
「来年あたりにお式出来たらいいですね」
「そうなれば嬉しいですけど」
10年以上交際している2人。
仕事が多忙過ぎてすれ違う生活は否めないけれど
だからこそ、お互いを信頼しているはずだから。
私と要のように、倖せになって貰いたい。