社長と極上の生活
けれど、激しい揺れは一向に治まらず
ますます激震へと化してゆく。
私は思わず、
「かっ……なめッ!!」
恐怖に耐え切れず、声を張り上げ
服を掴んでいる手を必死に手繰り寄せた。
すると、
「…ん?……ッ!!杏花ッ?!どうした?痛むのか?」
私を見た要は慌てて上体を起こした。
「……じっ……地震」
「へ?……地震?」
要のパジャマを掴み、硬直している私。
薄明かりの中、顔色を窺うのは難しいと思う。
けれど、恐らく、私は相当酷い形相をしている。
こんなにも大きな揺れ、生まれて初めて。
全身がピーンと張ったみたいに硬直し、
力加減が出来ず、至る所に痛みが走る。
「……杏花?」
「……?」
要は何事も無かったように、
いつもと変わらず、優しく頭を撫でている。