社長と極上の生活
―――――何……してるの?
こんな時に―――………。
髪に触れる手は、
そのままゆっくりと背中へ這って行く。
もう片方の手で私の腰を優しく抱き寄せた。
ふわっと彼の香りが鼻腔を擽り、
気が付くと、私は彼の腕の中にいた。
「……かっ……なめ?」
恐怖のあまり、震える声で呟くと
無言のまま、ゆっくり優しく背中を撫でる彼。
そんな彼の行動は、
怯えている私を安心させてくれる。
強張る身体を彼に委ね、ゆっくりと呼吸を整え始めた。
すると、少しずつ治まる揺れに、
私は少し違和感を覚えた。
「杏花………平気か?」
耳に届く彼の声は、
全く地震の恐怖の色を感じさせない。
ゆっくり緩められた腕の隙間から
彼の顔へ視線を移すと、困惑の表情を浮かべていた。
視線が絡み合う私達。
彼は何か、言いたそうな、そんな目をしている。
すると―――――、