社長と極上の生活
「警備室には伝えてありますので。社屋内でしたら、ゆっくりお散歩が可能にございます」
「あっ、なるほど~」
社屋内を歩き回るなら、
部屋の中をグルグル回るより全然マシだわ。
それに雨に濡れる事もなく、
休日だから社員にも迷惑が掛からない。
さすが、村岡さん!!
私がパッと明るい表情を浮かべると、
「では一先ず、社内エレベーターで杏花様のお好きな階へ参りましょう」
「ウフフフッ……そうさせて貰います」
私は30階の廊下を村岡さんと歩み進め、
社内専用エレベーターに乗り込んだ。
一先ず、20階くらいがいいかしら?
私は『20』のフロアボタンを押して、
初めての社屋内散歩をスタートさせた。
所々の部屋から灯りと会話が漏れて来る。
恐らく、休日出勤なんだわ。
その後、数人の社員とすれ違い、
軽く挨拶を交わしながら
『要も今頃、打ち合わせなのね』
なんて心の中で考えていた。