社長と極上の生活


無言で困惑する彼を問い詰める。


だって、怪しい香りがプンプンするんだもの。


お休みのはずの日にわざわざ出掛けた要。


しかも、どしゃ降りの大雨の中。


お腹の大きな私を過保護なほど溺愛する人が


休日に仕事を完全に入れなくなった。


――――全ては私とお腹の子の為に。


それと……『仕事』ならば、


いつでも右腕の沢田さんを同行させる。


彼が傍にいない時は殆どない。


――――だから、胸騒ぎがして……。


私のもとへ歩み近づく沢田さん。


そんな彼を凝視していた、その時!!


部屋の奥から人の声らしきものが微かに聞こえた。


目の前まで歩み寄った彼もその声が聞こえたらしい。


私と同じく、硬直している。


一瞬、私から視線を逸らしたかと思えば、


「すみません、そろそろ社長のお迎えに伺いませんと……」


私達をその場から遠ざけようとドアの外へと促し始めた。


―――――何かある!!


私は村岡さんと共にドアの方へ踵を返した、


次の瞬間―――――、


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