社長と極上の生活
「杏花」
消え入りそうな要の声。
いつもなら安心出来る彼の声が今は凶器の様。
「出てって!!」
布団の中から声を荒げると、
「違うんだッ!!」
「………」
何が違うって言うの?
この目でハッキリ見たのよ?!
……言い訳?
それともアレは夢だって言うの?
そんな言葉を聞きたいんじゃない。
「ちゃんと説明するから」
「もういいって!!今は1人にして……」
「そうはいかない!!俺の話を聞けって!!」
「ヤダ!!」
「頼むから……」
肌掛布団の上から優しく身体を撫で、
切なそうな声音で語り掛けて来る。
浮気の言い訳なんて聞きたくない。
私なんか比べものにならないくらいの美人だった。
しかも、私は身重の身体。
要の欲求を満足させられない事くらい
私が1番……分かってる。
だからって―――――………。