社長と極上の生活


「胎児がまだ小さいと、下りかけていた身体が再び上に戻る事もあるらしい」


「えぇっ?!」


私は思わず声を荒げて、上体を起こした。


そんな私の背中を支え、微笑みかける要。


何もかも見透かしていて、宥めている。


「まぁ、幸いにも俺らの子供はまだ小さくて、先生の言う通り上に……な?」


ほんの少し苦笑しながら背中を擦る。


「それで、赤ちゃんは無事なの?」


私は至って真剣に。


「あぁ、大丈夫だ。お腹の中にまだ余分なスペースがあるから、そういう事もあり得るそうだ」


「それ………ホント?」


「あぁ。現に出血も破水も無く、1週間が過ぎてるだろ?」


「………」


本当なの? そんな事があるのかしら?


出産準備の本にはそんな事、


全く書かれていないのに……。


「だから無理に出産を急がず、様子を見て…」


「先生は何も言わなかったのに…」


私は不思議でならなくて、無意識に声にしていた。


すると、


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