社長と極上の生活


要は優しい笑みを浮かべ、


大きなお腹をそーっと撫でながら、


「杏花が早産しやすいのは、子宮頸管が少し短いかららしい」


「えっ?」


「分娩時に胎児が通る場所の事なんだが、子宮筋の収縮や感染症で短くなる事もある」


「えっ、じゃあ、妊娠初期の切迫流産になりかけた時のが?」


「………あぁ」


要は一瞬表情を曇らせてから、


「でも、医師による的確な治療のお陰で赤ちゃんは無事だろ?」


「う、うん」


「でな?」


「…何?……まだあるの?」


私は不安の色を隠せないでいた。


今まで何度も危機を乗り越えて来たからといって


私が鋼の心臓を持っているワケじゃ無い。


勿論、恐怖や不安だってある。


息をのんで、彼の言葉に耳を傾けると、


「子宮頸管は短くなるだけじゃなくて、柔らかくなる事もあるそうだ」


「……え?」


「だから、W効果で胎児が下りやすいらしい」


………W効果?


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