社長と極上の生活


「だからな?いつ産気づくか予想も出来ない」


「……どういう事?」


「普通なら陣痛が始まって、初産でも10時間はかかるだろ?」


「……ん」


「だけど、杏花の場合は、常に子宮口が開いているような状態だから…」


「……だから?」


「数十分で出て来る事も」


「ッ?!!」


私は言葉を失った。


何をどう言っていいのか分からない。


陣痛の苦しみが少なくて済む事を喜ぶべきか。


それとも、いつ産気づくか分からない事に


不安の色を示してよいものか……。


困惑の表情を浮かべると、


「だから、先生に相談して良い方に捉えようと思う事にしたんだ」


「へ?」


「陣痛の感覚が短く、胎児も下りやすい」


「ん」


「だったら、それを逆手にとって楽しい分娩にしようかと…」


要は柔和の表情で小さく頷いた。


………そうか。


そういう事もアリなのね?


分娩って、色んな方法があるのは知ってたけど


自分の身体に合わせる方法があったなんて…。


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