社長と極上の生活


「それで?楽しい分娩って?」


「待ってました!!その質問」


要はしたり顔で、


「それが、俺がさっき話した『ソフロロジー式分娩』だよ」


「………」


「大事なのはリラックスして呼吸する事」


「呼吸?」


「あぁ。ラマーズ法のヒッヒッフ~じゃなくて、『ただ、ゆっくり息を吐く』という呼吸法」


「息を……ゆっくり………吐く?」


「あぁ。リラックスした状態でな?」


要の瞳が真剣だという事が、


何より真実なのかもしれない。


私は半信半疑のまま、


「どうやってするの?」


「ん?……やってみるか?」


「うん、教えてくれる?」


「あぁ、もちろん」


ニコリと笑みを浮かべる要。


今は彼に騙されてみよう


……私はそんな風に思った。


そして、彼が指示する通りに


ベッドの上に胡坐を掻いて、背筋を伸ばし


「お臍の下を少し押しながら、ゆっくり深く強く息を吐いて~」


要に言われたように息を吐く。


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