社長と極上の生活
「何ですぐに言ってくれなかったの?」
「聞く耳も持たず、無視したのは杏花だろ?」
―――――ダメだ。
完全に墓穴を掘ってるよ、私。
私は真っ赤な顔で苦笑いしながら、
「要……ごめんね?」
「どうしよっかなぁ~」
要は意地悪く視線を逸らした。
「要~~ごめんねぇ~~~」
彼の腕を掴んで許しを請う。
何だかこれって、私がイケナイ事をしたみたい。
「フフッ、いいよ。別に気にしてない。隠してた俺も悪いし、誤解を招くような事をしたのも事実だし」
「そっ、そうだよ!!私だって悪いワケじゃ…」
「調子に乗るな」
「ッ!!もうッ!!」
要は軽く私のおでこを小突いた。
その時―――――、
「あっ!!」
「ん?!どうした?痛むのか?」
「今、赤ちゃんが動いた!!」
「フフッ、パパとママがやっと仲直りしたかって安心したんだな」
「フフッ、そうかもね?」
お互いに目を見合わせ、プッと吹き出した
他愛ない時間って、こういう事なのかも。