社長と極上の生活


「何ですぐに言ってくれなかったの?」


「聞く耳も持たず、無視したのは杏花だろ?」


―――――ダメだ。


完全に墓穴を掘ってるよ、私。


私は真っ赤な顔で苦笑いしながら、


「要……ごめんね?」


「どうしよっかなぁ~」


要は意地悪く視線を逸らした。


「要~~ごめんねぇ~~~」


彼の腕を掴んで許しを請う。


何だかこれって、私がイケナイ事をしたみたい。


「フフッ、いいよ。別に気にしてない。隠してた俺も悪いし、誤解を招くような事をしたのも事実だし」


「そっ、そうだよ!!私だって悪いワケじゃ…」


「調子に乗るな」


「ッ!!もうッ!!」


要は軽く私のおでこを小突いた。


その時―――――、


「あっ!!」


「ん?!どうした?痛むのか?」


「今、赤ちゃんが動いた!!」


「フフッ、パパとママがやっと仲直りしたかって安心したんだな」


「フフッ、そうかもね?」


お互いに目を見合わせ、プッと吹き出した


他愛ない時間って、こういう事なのかも。


< 73 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop