社長と極上の生活
4 「俺がそばにいる」
8月に入り、俺ら夫婦は
不安と緊張と高揚感とが入り混じる
……そんな複雑な心境で、
我が子の誕生を今か今かと待ち侘びている。
毎日のようにオフィス街に
容赦なく降り注ぐ灼熱の日差し。
当然のように日課となった『夜散歩』
それでも日中に吸収した熱が
夜になっても熱気となって
オフィス街を包み込んでいる。
……まるでサウナのように。
午後9時を少し回った頃、
散歩から帰宅した俺らは2人で浴室へ。
「要、絶対こっち見ないでね?」
「あぁ~ハイハイ」
毎度の事、俺を『男』と意識して恥じらう杏花。
“ヤダヤダ”と駄々を捏ねまくろうが、関係無い。
杏花は勿論の事、お腹の子に
万一の事があったら、俺が自分を許せない。
何より、俺自身が杏花から
1分1秒たりとも離れていたくないんだ。
杏花を1人にさせるのが嫌だとかでなく、
俺が杏花のそばにいたいんだ。
呼吸する事が当たり前のように。