社長と極上の生活


青々と茂った葉の隙間から


淡いピンクの花を覗かせる百日紅。


紅白のコントラストが絶妙なアメリカフヨウ。


俺ら夫婦を歓迎してくれるかのように


風に揺れ揺れ、贅沢なひとときを……。


広大な敷地に日本庭園を始め、


イギリス風景式庭園やフランス式整形庭園等


ゆったりと落ち着いた空間が楽しめる。


「わぁ~要、見てコレ!!」


「ん?……どれどれ?」


園内を散策している俺らは至る所で足を止め、


季節を彩る樹木や花々を楽しんでいた。


杏花の指差す先を辿ると、


白い小さな花と紫色の小さな実が


愛らしくも凛としている姿を覗かせている。


「杏花、何ていう花か知ってるのか?」


「ヤブミョウガ」


「ヤブ……ミョウガ?」


「うん。こんなにも一面に咲き誇っているのに、誰もが気に留めず通り過ぎる」


「………」


突然、杏花はしゃがみ込んで花に顔を近づけた。


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