社長と極上の生活
「凄く地味な花だけど、私は好きよ」
「へぇ~」
「だって、花は凄く小さいけれど真珠のような珊瑚のような愛らしさがあるし」
「……ん」
「花が終わりを告げると、実は濃い紫色に輝く。……まるで、黒真珠のようにね」
「……ん」
「愛らしさと気品を兼ね備えているみたいで、素敵でしょ?」
「フッ、まるで……杏花みたいだな」
「えっ?」
愛らしさと気品か……。
まさに杏花そのもの。
人は皆、自ずと自分に似たモノに惹かれると言うが
その言葉通り、杏花と目の前の花が
惹かれ合う様が見えるようである。
1時間ほど歩いた俺らは、
少し早めに昼食を取る事にした。
夏休みという事もあり、
園内は子供連れで賑わっている。
きっと、レストランも混むだろうと。