社長と極上の生活
まかり間違って、
駆け回る子供と杏花が接触でもしてみろ。
想像しただけでも不安で堪らない。
避けれるものは避けるべきだし、
それが唯一、俺が杏花にしてやれる事だから。
まだ空いているレストラン内の窓から
イギリス風景色の庭園を愛でながら
俺らは旬の野菜をふんだんに使った料理を堪能した。
食後はのんびりと日本庭園を巡って。
さすがに日本庭園内は子供の姿は少なく、
風に揺れる木々の音と
夏を謳歌している虫たちの歌声が
何とも心地良く感じられた。
樹木の木陰で何度も休憩しながら、
俺らはとある建物の前に到着した。
「杏花」
「ん?」
「少し、喉を潤そうか」
「へ?」
少し呆気に取られている彼女の手を引き
俺は建物の中へと足を踏み入れた。
そこは……―――……