社長と極上の生活
「先程、レストランでお2人をお見掛けいたしまして…」
「……はぁ」
目の前の女性は何だか楽しそうに話し始めた。
「以前に、セントラルショッピングモールにも伺いましたし…」
「………」
「お2人が挙式された広場でお参りもしたんですよ」
「……そうですか」
やっぱり、ミーハーか。
明るい表情の彼女と違い、
杏花の表情はますますどんよりと……。
再び、杏花の手をギュッと握りしめた
―――――その時、
「失礼致します。家元夫人」
突然、彼女の背後から
お弟子さんと思われる女性が声を掛けて来た。
一向に呈茶が運ばれてくる様子も無く、
杏花と共に帰ろうとアイコンタクトを取ると、
「大変失礼致しました。お部屋へご案内致します」
「………はい?」