青龍と桜
彼女の舞は目を惹いた。
「あれ、だれだ?」
白メッシュを入れた茶髪の男、白亜の総長が近くにいた男に尋ねる。
「桜色のパーカーに、胸まである黒髪。遠目ではっきりとはわかんないけど、瞳もきっと桜色をしてるんじゃないかな」
男は嬉しそうに総長の問に答える。
「…夜桜か」
総長の呟きに、近くでケンカをしていた白亜の幹部たちが驚く。
総長の隣で、ケンカもせずただ彼女を見つめる男の口元は、歪んだ笑みを浮かべていた。
「こんなとこにいたんだね」
男の呟きは、隣にいる総長でさえも聞き取ることは出来なかった。