青龍と桜

「私のため、だって」

美花がぽつりと言った。

「美花、もしかして華姫ってこと青龍のみんなに言ってないの?」

美花の寂しさを感じとり、胡桃が尋ねる。

「うん…タイミングがなくて」

華姫とは、美花が総長時代に名乗っていた通り名だ。とても強いらしく、族を抜けた今でもその名は残り、族の間では有名らしい。

「ちゃちゃっと言っちゃいなよ~」

そんなすごい人だとわかった後も、私たちの美花に対する態度は変わらず、しょんぼりしていた美花を真理がせっつく。

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