赤い月 終
もう心配はいらぬ
十六夜(イザヨイ)
今夜もうさぎは…
ん?
アレは? まさか?
目を凝らす暇もなく、景時の部屋のベランダに、銀の光を纏った人影が降り立った。
そして、言葉も忘れて立ち尽くす景時に一言…
「なんじゃ、起きておったのか?」
…
残業帰りのオトーサン?
でも、イイよ。
なんだってイイ。
オトーサンでもオジサンでも。
開けっ放しだった窓からフツーに帰ってきたうさぎを、景時は震える腕で抱きしめた。
「うさぎ… うさぎ…
帰ってきた‥‥‥」
「戻ると言ったであろう?」
うん。
言ってた。
でも、不安だったの。
寂しかったの。
なんか、いっぱい話したいコトがあった気がするのに、なんも思いつかない。
なんだっけ?
なんだっけ?
ぅー…
あー!もう!!
コレしか出てこねぇよ。