赤い月 終
「うさぎ、うさぎ、好き…
逢いたかった。
うさぎ、大好き… うさぎ…」
壊れたように同じ言葉ばかり繰り返す景時の赤い髪に、うさぎがそっと触れた。
幼い子供をあやすように、白い手が頭をゆっくり撫でる。
「ただいま、景時。
心配かけたようじゃな。
もう大丈夫じゃ。」
「うん…
お帰り、うさぎ。」
耳元で響く低く優しい声にスイッチを押され、身体が、心が、全てが、通常運転を始める。
そうだね。
君がいれば、俺は大丈夫。
でも… 君は?
景時は少し身を離し、うさぎの美しい顔を見つめた。
「うさちゃんは… 大丈夫?」
「?
何が?」
(ナニが、って…)