赤い月 終
なんとなく予想してた
含み笑いが消えた。
アンタ…
私のオニじゃない
ドコから来たの?
鏡は戸惑っているようだ。
そりゃ、ソーダヨネ?
自分の腹の中に、飲んだ覚えのないオニが突然出現しちゃあね?
「ばしゅらヲ 取レ。
俺ガ 念ノ代ワリニナル。」
オニの脳には、声が入ってこないのだろうか?
鏡の問いを全く無視した言葉は、景時にかけられたようだ。
だが、背を向けたまま。
景時の顔を見ようとしない。
「早ク」
「父さん… でショ?」
景時の呼び掛けに、大きな背中に緊張が走る。
しばしの沈黙の後、オニが口を開いた。