赤い月 終
「ナ…
ナンノ・コト・ヤラ?」
「ぶふっっ」
強敵の前。
父と子の再会。
色々と緊張の場面ではあるが、景時は堪えきれず吹き出した。
だって、動揺しすぎだし。
さらに片言になってっし。
オニってか、ロボじゃん。
「父さんって、もっと落ち着いた人だった記憶あンだケド?」
「記憶ハ 封ジタハズダ。」
赤い髪を掻き上げながらヘラっと笑った景時を、オニは肩越しに振り返った。
その横顔には、やはり見覚えがある。
懐かしい。
慕わしい。
ゼンキ…
俺の、父さん…
「俺の記憶って、封じられてたンだ。
ちょっと甘かったンじゃね?
全部、思い出しちゃった。」
そう、全部思い出していた。
ある日突然記憶が蘇ったわけではないが。