赤い月 終

時の流れは早いもの。

赤子は幼子になりました。

笑い声の絶えない鬼の庵で、すくすくと育つ月夜。

穏やかな日々を過ごしていたある夜、鬼は月夜から漏れるある気配に気づきました。


─この子は赤光だ…


だから、捨てられたのだ。

あんな場所に。
生まれてすぐに。
乳も与えられず。

まるで『死ね』と言わんばかりに。

この子に罪はないというのに…

鬼は迷うことなく、月夜に『闇蝕』をかけました。


─素直で優しい清らかな月夜。

 この子ならば、心の光を消す
 ことはない。


鬼は確信していました。

だけど‥‥‥‥‥


『闇蝕』

それは闇を蝕む天の恵みか。

闇に蝕まれる呪いなのか…

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