赤い月 終
時の流れは早いもの。
少女は娘になりました。
しとやかで気立てがよく、働き者の月夜。
読み書きは勿論のこと、琴を奏でるまでの教養を身につけた月夜。
並べば花も色褪せて見えるほど、美しく成長した月夜…
もう彼女を『鬼の子』と嘲笑う者は、誰もいませんでした。
それどころか、里の男たちからも、噂を聞きつけた町の裕福な男からも、嫁にと望まれるほどでした。
そんな中、怪我をして都に帰れなくなったやんごとなき身分の男が、しばらくの間、里に滞在することになりました。
廻る、廻る、運命の輪。
そして二人は出逢ってしまう。