赤い月 終
「…てへ☆」
舌を出してヘラっと笑った景時を見て、黒曜は溜め息を吐いた。
「やっぱりか…
ひょっとして、試してみたのか?」
「うん。」
「もう… 決めたのか?」
「うん。」
軽い笑みを浮かべ続ける景時から目を逸らし、黒曜はまたグラスに酒を注いだ。
そろそろボトルが空になる。
いくら呑んでも酔えない夜だ。
「ヤな役、押しつけてくれるよな。」
「ぅー…
スンマセン。」
もう一度大きな溜め息を吐いた黒曜は、グラスを傾けながらニヤリと笑った。
「いいゼ。
おまえのコト嫌いじゃナイし。
…
おまえが赤光じゃなければって、ずっと考えてたよ。」
赤光じゃなければ、なんなんだろう。
知りたい気もするケド、知っても無意味。
事実は事実。
変わることなどないのだから。
俺は、赤光。