赤い月 終
「ライバルに『嫌いじゃナイ』とか…
相変わらず余裕じゃん。
ソレ、年の功?」
景時は笑う。
白い歯を見せて。
「バっカ、オメェ。
コレは器だ。
何年生きても、子供みたいなヤツもいンだろが。」
黒曜も笑う。
顔をクシャクシャにして。
「あー…
空気読めなかったり?」
「人を振り回しといて、全く気づいてなかったり?」
「甘いモノ好きだったり?」
「妙なトコロで、やけに素直だったり?」
「あ。
ソレ、心配だよね。
前に、クラスの女のコに言われるがまま、メイド服とか着ちゃってさぁ…」
「おいおい?
ソイツぁ聞き捨てならねぇゾ?
写真とか、ねぇのか?」
身を乗り出した二人の男が話すのは、一人の女のコト。
楽しかったコト。
可笑しかったコト。
嬉しかったコト。