赤い月 終
でも。
それでも。
確かに今、二人は同じ景色の中にいる。
景時はゆっくり立ち上がり、うさぎの隣に移動した。
傾くゴンドラ。
乗り物自体に慣れていないうさぎが、不安そうに景時の腕に縋りついた。
「うさぎと一緒にいたい。」
うさぎの頭に頬を預けて、景時は囁く。
「一緒におるではないか。」
景時の肩に頭を預けて、うさぎは囁く。
そうだね。
そう思ってた。
でも、そうじゃないンだ。
俺は欲張りになってしまった。
「ずっと、一緒にいたい。
知らないコトを二人で知って、出来ないコトを二人でやってみて。
二人で二人の世界を拡げたい。
ずっと、ずっと、一緒に。」