赤い月 終
だが、感慨に耽る暇もなく。
不安に戸惑う暇もなく。
景時は腕を組む秋時と薫に、ガラステーブルを挟んで向き合っていた。
例によって、ちょこんと正座。
例によって、隣のうさぎもちょこんと正座。
「なるほど?
つまり、こーゆーワケか?」
秋時が静かに口を開いた。
今朝も、こめかみの青筋が危険信号を発している。
「うさちゃんが加護になろうとしているのに気づいて、死のうとした、と。」
「…ハイ。」
「でも盛大にヤキモチ妬いて、朔でもねェのにオニになった、と。」
「‥‥ハイ。」
「で、うさちゃんが悲しそうにしてたから、さらに鬼になっただと???
さっぱりわかんねーよ…」
秋時が項垂れ、深い溜め息を吐く。
あらら?
コレ、一徹クラッシュの流れじゃねぇンだ?
「だが、わかってるコトが一つある。
動機が全部、うさちゃんじゃねーか…」
「‥‥‥ハイ。」
秋時が黒い笑みを浮かべながら顔を上げた。