赤い月 終

ソファーの上では、うさぎが薫に買ってきてもらった新しい携帯を見せながら、小鞠を宥めている。

それを見た祥子が乱入し、すぐさまアドレス交換が始まった。


(あーあ。
うさちゃん、奪られた…)


今奪い返しに行っても、蹴り出されるだろう。

まじでいつも通りじゃん…

項垂れて溜め息を吐く景時の肩が、軽く叩かれる。

視線を上げると、いつのまにか薫と大吾に挟まれていた。


「早く戻って来いよ。
卒業式、一緒に出ようゼ。
高杉は在校生席だろーケド。」


…出たよ、毒ガス王子。


「もう、中退でいいンじゃね?
どーせバカだし。」


…おまえもな、この筋肉バカ。

二人とも、ありがとう。

でも照れ臭くてそんなコト言えないから、景時は笑った。

いつも通り、ヘラヘラと軽く。

女子の塊は、新たな展開を見せていた。

とうとう小鞠が泣き出して。
なぜか祥子も泣き出して。

うさぎは二人をギュっと抱きしめていた。

前までは、オロオロするばかりだったのに…

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