赤い月 終

俺は鬼だ!
ヘタレじゃねェ!!


「うううしゃぎ…」


いきなり噛んだ。
間違いなくヘタレだよ。


「なんじゃ?」


笑いを噛み殺しているような、うさぎの声。

ぅー…

イイさ、笑えよ。

こんなコトじゃ、今夜の俺は折れねェぞ!


「俺、うさぎが好きなンだケド!」


「…知っておるが?」




デスヨネー?

でも、ココから!
ココからだから!


「うううさぎは、どーなの?
その、友達とかへの『好き』じゃなくて、俺のコト、一人の男としてすすす『好き』…

あら?」


空を飛ぶスピードがみるみる落ちて…

空中に浮かんだまま、ピタリと止まった。

うさぎの表情もみるみる変わって…

吊り上がった片眉。
鋭く細められた目。
引き結ばれた唇。

お怒りデスネ、どー見ても。

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