赤い月 終

だが、景時は見逃さなかった。


(…
俺の顔見て、笑ったよね?)


その紅くて色っぽい唇の端、震えてマシタYO!

ナニ?
そんな情けねぇ顔してるって?

二度と会えないと思ってたうさちゃんに会えたンだよ?

泣かなかったダケ、マシじゃねぇかぁぁぁ!!


 ココを出る、ですって?!
 あはは、無理よ! 無理無理!!

 ココは私の世界
 神である私の中なのよ!!


甲高い声を聞きながら、煩そうに形の良い眉を顰めたうさぎが、動けなくなった景時をヒョイと担ぎ上げた。


「ちょ… コレはヤダ。
本気で泣くよ?」


「ん。
戻ったら、好きなだけ泣くが良い。」


 ちょっっっと!
 話を聞きなさいよ!!


「今日はまだ動けるって。
逆バージョンでいこうよ。
俺がうさちゃん抱っこする。」


「そなたは飛べぬであろう?」

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