赤い月 終
ハイ、誰も鏡の話は聞いてマセン。
うさぎさえいれば他はどーでもイイ景時は、鏡の話どころか存在自体完全に無視。
うさぎも鏡を全く気にもとめず、長く鋭い爪で空を縦に切った。
切られた空中が揺らぎ、世界に裂け目が現れる。
鏡の怒りは最高潮に達した。
何すンのよ!!
私は神よ!!
百年以上神として生きた私に
楯突くつもり?!
この虫けらが!!!
「煩い小童じゃ。」
景時を肩に担いだまま裂け目に片足を踏み入れたうさぎが、呆れたように首を振った。
「貴様は妾の大切な者らに手を出したのじゃ。
そのように吠えずとも、ちゃんと構ってやる。」
銀の髪を舞い上がらせ、巨大な鬼気が溢れ出す。
鏡の世界に満ちたソレは黒い炎に変わり、瞬く間に燃え広がった。