赤い月 終
斜め上
「まじで?
生きてる上に、狂ってねぇってか?」
低くハスキーな声が、遠く聞こえる。
「確認しておる暇はなかったが、言動が以前のままだったのじゃ。」
コレは聞き違えるはずがない。
間違いなく、大好きなうさちゃんの声。
「あり得ねぇだろ。
鏡の腹にいたンだぞ?」
コッチは… ダレ?
聞き覚えはあるンだケド…
「だが…
まぁ、起きればわかる事じゃ。
待ってみよう、黒曜。」
うさちゃんが黒曜を呼んでる…
ん?
黒曜?
うさちゃん、黒曜と一緒にいんの?!
嫉妬に覚醒を促され、景時は飛び起きた。
「あ、起きた。」
呟きに反応して瞬時にうさぎの姿を確認し、意外と近くにあった白い手を掴んで引き寄せる。
「俺ンだから!!」
景時は座り込んだまま膝の上にうさぎの華奢な身体を抱き上げて、腕を組んで壁にもたれる黒曜を威嚇した。