赤い月 終
そこには、うさぎ。
もう会えないはずだった、うさぎ。
「変化っつーか…
俺、記憶障害だったカモ。」
「何?」
「俺が覚えてたうさちゃんよりリアルうさちゃんのほうが、ずっとずっーと、綺麗…」
原型を留めないほど緩みきった景時の笑みを見て、黒曜は顔を引きつらせ、うさぎは
「良し。
問題ないようじゃ。」
と、強く頷いた。
だからー…
おかしーだろ、その判断基準。
「うさちゃん… ごめんね…」
真顔に戻った景時が、シルバーのリングが嵌まった指でうさぎの白い頬に触れた。
細い腰に回した腕に力を込め、さらに距離を縮めようとして…
「あぁ??!!」
さらに力強い腕に、うさぎをかっ攫われた。