赤い月 終
だが、ソレよりナニより…
「なるほど?
つまり、こーゆーワケか?」
慈龍寺内の、秋時が居住している庫裏の座敷。
座卓を挟んで正面に座った秋時が、小さくなって正座をする景時を睨んだ。
うさぎは隣にいてくれているものの、景時の真後ろには、柱を背もたれにして片膝を立てた黒曜が座っている。
ナニ? コレ。
前門の虎・後門の狼って、こーゆーの?
もう全力で逃げたい。
もちろんうさちゃん連れて。
「オメェのミスでうさちゃんが呪を食らった、と。」
「…ハイ。」
静かすぎて逆に恐ろしい秋時の声に、景時は神妙に頷いた。
「苦しむうさちゃんにテンパって、話もまともに聞かずに飛び出した挙げ句、しくじって付喪神とやらに飲まれた、と。」
「‥‥ハイ。」
「その付喪神を殺るコトにいっぱいいっぱいで後先考えず、出てきたゼンキに力を貸してもらった、と。」
「‥‥‥ハイ。」